障がい者就労について
3.ジョブコーチ支援について
ジョブコーチは「職場で仕事を教える人…」とよく勘違いされますが、実際は教えるのは職場の人です。仕事のやり方やコツを一番知るのは職場の人です。また、教えることこそ職場の雇用管理ノウハウとして積み上がります。ジョブコーチが仕事を教えていると、職場の人が教える機会を奪ってしまいます。ジョブコーチは「教え方を教える人」です。主人公は常に雇う側と働く人で、ジョブコーチが活躍することはありません。
仕事の切り出し(職場の力を引き出す)
ジョブコーチが社内の仕事を見て障害のある人が出来る仕事を切り出す…これも間違いです。正確に言えば「切り出す方法を教える」こととなります。職場には職場の歴史や必然があり現在の状態になっています。ジョブコーチが一目みただけで仕事を切り出すのはかえって効率や流れが悪くなる場合があります。仕事の切り出しは実際に職場を構成する人が主体となって行うものです。ジョブコーチは他社の事例や障害の特性を伝え職場の人をサポートします。庶務担当社員でプロジェクトチームをつくって仕事を見直すなどが有効です。真剣に向き合った会社が真にコストに貢献する切り出しが可能となります。働く人も心から「あなたがいて助かっている」と感謝されることになります。
支援に入るとは(システムへのアプローチ)
職場の中で現状をアセスメントし企業担当者、対象者双方へコーチングとフィードバックを行います。そして対象者を取り巻くシステム(人的環境)がより良くなるよう考えます。
対象者にとってのジョブコーチ(対象者の力を引き出す)
ジョブコーチは対象者にコーチングとフィードバックを提供し、力を引き出したり、フィードバックで認知を助けたり、気づかせたりする役目です。依存関係回避やコストの面から当初より支援は最少に務め、職場定着に合わせてフェーディング(支援の量を減らしていく)します。また、地域生活ではケースワーク、ソーシャルワークを行い職業生活を見守ります。
ジョブコーチのスキル
ジョブコーチは対人援助業務なので相手を支配してしまったりする危険があります。専門知識に基づいた科学的な支援であることがその危険を遠ざけることができます。関係する知識を以下にあげると、ケースワーク、ソーシャルワーク、キャリア理論、認知行動療法(SST含)、応用行動分析、システムズアプローチ、労働法、発達心理学、社会心理学、産業組織心理学、社会学、生産管理・IE、ビジネスマナーなどです。必要に応じて関係するスキルを活用します。